償い (幻冬舎文庫)矢口敦子 ¥ 680 通常3〜5週間以内に発送 ★★★★ |
償い (幻冬舎文庫) | |
| 本屋さんが、えらい力の入れようで、平積み量とPOPに惹かれて購入しました。 医療ミスと権力闘争にやぶれ、エリートコースから脱落、妻子を失い マインド・ロスにあった主人公日高が、ホームレスの立場で、家庭内暴力・高齢者夫婦だけの介護・身体障害者・幼児性的虐待の被害者及び被害者家族・加害者及び加害者家族・臓器移植待ち患者・不妊治療夫婦等に起きる、連続不審死を、ひとりの容疑少年真人との関連と照らして推理を推し進める内容です。これでもかっていうくらい マインド・ロス環境の登場人物が出ますが、ほとんど、殺された後の、推理上の登場なので、心への浸透具合が薄く、主人公も、すべてを捨て 心の傷から半年で、しかも日々の食や寝床にも事欠く、状況で連続不審死の解明にあたれるというのは、エンターテーメントとはいえ、回復早すぎないか?とつっこみたくなりました。経験上最低3〜4年は、落ち込みっぱなしだと思うのですが・・・。 連続不審死にかかわるのが、社会的精神的弱者ばかりで、関わらない一般生活しているなんの償い意識も持たないものが、安息に生活できるなんて意図か?なんて邪推したくなりました。 ストーリーは、... | ||
第三の時効 (集英社文庫)横山秀夫 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
第三の時効 (集英社文庫) | |
| 横山秀夫の作品はいくつか読んだが、やはり最高傑作は「クライマーズ・ハイ」だと 思う。本作品は個的なキャラクター設定にスリリングな話の展開と一読して 面白いが、手元に残しておきたいという文学の風格がないので減点。「クライマーズ・ハイ」 には文学の醍醐味がある。6つの事件がそれぞれ違う目線で描かれていながらも、朽木、楠見、村瀬という各班のリーダたちの存在感がとてもよく現れていて、リアリティのある物語だった。また、ただ事件を解決するだけでなく、マスコミとのやりとり、捜査課長とリーダとの軋轢、強行班内部での揉め事など、人間関係についても丁寧に描かれており読み応えがあり文句のつけどころがなかった。 大変楽しめました。それぞれのストーリーがスパイスが効いていて、どんでん返しも楽しめます。しかし何よりもすばらしいのは、登場する刑事たちのキャラクターです。それぞれトラウマを抱えていたりもするのですが、決して感傷に流れた描写は行われません。それがかえって、抱えているものの重みを感じさせました。 多くの刑事が登場しますが、それぞれの個性が、考え方や動作や捜査方法などに現れ、一人一人の人物がくっきり見え... | ||
動機 (文春文庫)横山秀夫 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
動機 (文春文庫) | |
| イメージの問題だが、男くさく、タバコくさい。しかし、酒臭くはない。何となくハードボイルドなイメージかな。 ストーリーとしては、「動機」の気の利いた展開は面白い。また「逆転の夏」は、ハラハラさせられて、小説な感じがする。いずれも取り上げられるのは身近な話題ではないことから、「ああこんな世界もあるんだな」と感心する。以前から横山秀夫作品がテレビドラマ化されていたことは知っていたし、「影の季節」というどことなく殺伐とした印象を与えるタイトルも頭の片隅に残っていた。「著書『影の季節』と『動機』あわせて100万部突破した!」という黒帯の白抜きされた言葉に思わず手が伸びた。どちらの作品からもとても斬新な感覚を与えられ、目から鱗が落ちるような思いであった。犯人逮捕に全力投入する刑事部門の活躍ではなく、警務課、監察課そして秘書課といった「別角度」から、警察機構の内部(正確には「管理部門」で働く人間の内面)に潜む赤裸々なドラマを、あたかもそこに勤務している人間であるかのようなタッチで描かれた短編小説に惹き込まれた。特に印象深かった作品は、『動機』所収の「動機」と「逆転の夏」の二作品である。どちらの... | ||
ルパンの消息 (カッパノベルス)横山秀夫 ¥ 920 通常3〜5週間以内に発送 ★★★★ |
ルパンの消息 (カッパノベ... | |
| 娯楽作品としてはよく出来ていて充分に楽しめるし、横山秀夫の処女作として興味深く読める。 ただし、本書は現在の横山秀夫の作品に比べてリアリティに乏しい。ミステリーはありえない前提が許容されるべきであると思うが、ありえない前提が多く、ありえないことが中盤に差し掛かっても起きているのはいただけない。 具体的には、時効成立前の数時間で被疑者が集められて同時に取り調べられることや、供述としては15前の記憶が鮮明すぎること、その鮮明な記憶をもとに捜査が進められること、喫茶店のマスターの設定にも強引さを感じる。 ザムザが虫になってもリアリティがあるのは、ありえいない前提が冒頭の1回だからである。 また、改稿したことを知って読んだからかもしれないが、良くも悪くも『当時の熱っぽさと粗っぽさ(改稿後記)』と現在の緻密さが同居しているという印象を受ける。横山秀夫の作品をずっと読んできた。 警察小説の独自の切り口がとても新鮮な作家で、フアンになって今まで来た。 本作品は、その横山のまぼろしの処女作だと言うが、そういう事を知らずに、要するに横山の新作と思って 読んでいった。 するとどうだ。これまでの横... | ||
陰の季節 (文春文庫)横山秀夫 ¥ 470 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
陰の季節 (文春文庫) | |
| 警察小説であるが、凶悪事件を追ったのではなく、 警察組織そのものを描いた小説とは思わなかった。 ありありと淡々と描いてくれる。 社会派だけどすごく読みやすい。 ユーモラスではないが堅苦しくもない。 「周りにもこんな奴おるおる」と、 ただそのリアリティに共感せずにはいられない。第5回松本清張賞受賞作。 この本を手にするのは、もう何度目になるだろう。 読むたびに感心させられる。 短編の、短い枚数の間に、細やかにディテ−ルを積み重ねて、リアリティのある もっといえば厚みのある小説に仕上げてしまう技巧は見事だ。 本書の32ページ真ん中辺りに、以下のような記述がある。 通された和室には神棚があった。大明神の神符が祀られている。 きちんと手が入っているとみえ、白木にくすみ一つなく、供した榊の葉にも深い艶があった。 欄間に、墨痕鮮やかな『治にいて乱を忘れず』の書が飾られ、壁には額に納まった『警察職員の信条』が、恭しく掛けられている。 この4行の描写で、読み手に、尾坂部の人となりを鮮やかに印象付けている。 しかも、この描写がさりげなく挿入されていて、 まったく不自然な感じがないところがすご... | ||
女子大生会計士の事件簿〈DX.1〉ベンチャーの王子様 (角川文庫)山田真哉 ¥ 500 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
女子大生会計士の事件簿〈D... | |
| 大変面白かった。会計って奥が深いんだと思った。 DX.2もどんな面白いことが書いてあるのか、楽しみだ。ストーリーと文章構成は読み物としてはかなり低いレベルです。本職の小説家に求めるような過剰な期待は禁物です。 ただ読んで為になるということは間違いないでしょう。公認会計士の主人公ということで経済事象をわかりやすく説明してくれています。 もっともこちらよりは「さおだけ屋」や「食い逃げされても〜」を買うほうが更に為になるでしょうが、そちらはもう読んでしまったという人や日ごろから活字慣れしていないという人ならこちらを読んでみるのもよいかと思ます。噂で聞いてこの本を買ってみたものの、期待が大きかった分少し失望しました。 小説風に書かれているため読みやすいのには変わりはないが、一つ一つの話が あっさり完結してしまって奥深さがない。まあ私自身会計士ではないので、ほー と思うことはあるものの、もう一度読もうとは思わない。 ただ著書が学生や子供たちに読書、会計への一歩となるように書いていることを 考慮すると十分評価できる。ドラえもん感覚で。1つ1つは短編ですし読みやすいです。 経理上の操作でいろ... | ||
真相 (双葉文庫)横山秀夫 ¥ 630 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
真相 (双葉文庫) | |
| 横山作品の中でも特に重い内容だと思う。 ハラハラしながら読みすすめるうちに各話とも主人公に感情移入してしまうのは本に入り込みやすい私の性格か、それとも著者の力量なのか。 なんとか悪事が明るみに出ないものか、幸せに暮らして欲しい、と思うものの結果的には。。。。 当たり前のことなのに妙に悲しくなってしまう最後が用意されている。 読後感が暗いが、登場人物が人間臭くて面白かったと思う。 2003年に刊行された、横山秀夫の6作目の短篇集。 5作品が收録されてゐる。 いづれの作品も、ある出來事の裏に隱れてゐる「眞實」を描くことで共通してゐる。 「眞相」 10年前に息子を殺された事件の犯人が逮捕された。 そして、犯人の供述から明らかになつた息子の知られざる「顏」。 「18番ホール」 村長選に出馬した主人公の眞の動機は何か。 樂勝の筈だつた選擧戰が苦しい戰ひとなつてゆくとともに、主人公の過去が明かされてゆく。 「不眠」 リストラされた45歳の主人公のアルバイトは製藥會社の治驗藥の被驗者である。 その所爲で不眠症になつた主人公が眞夜中の散歩で目撃したのは・・・ 「花輪の海」 「あなたにとつて、... | ||
さよなら妖精 (創元推理文庫)米澤穂信 ¥ 780 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
さよなら妖精 (創元推理文... | |
| 1991年(平成三年)4月、守屋路行(もりや みちゆき)と太刀洗万智(たちあらい まち)の高校三年生のふたりが、ユーゴスラヴィアから来た17歳の女性、マーヤと出会うところから、話は動き出します。 日本語は上手なんだけれど、物事をしっかりと受け止めてから話すせいか、会話の端々に、「んー」て言葉が入るマーヤ。日本の文化や歴史、宗教やものの考え方などの本質に興味を持ち、質問し、どんどん吸収していくマーヤ。あどけなさが残る中にも、きりりとした芯の強さがうかがえるマーヤ。黒目黒髪の、この美しい異国の女性キャラが魅力的だったこと。それがこの作品を、後を引く、忘れがたいものにしていましたね。 一方、太刀洗万智ことセンドー(守屋がつけたあだ名)の、日常の謎をいち早く解いて、実にそっけない種明かしをするキャラも、個性的であり魅力的でした。著者の後年の作品『ボトルネック』に登場する嵯峨野サキにつながる、「想像力」を働かせて物事の真実を見ることを重要視する女性。ただ、この作品では、マーヤという、スポットライトがよりくっきりと、強く当たっている登場人物がいたためか、押さえ加減で書かれていた気がしま... | ||
顔 FACE (徳間文庫)横山秀夫 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
顔 FACE (徳間文庫) | |
| 星は超辛口で3つとした。 やはり、横山秀夫ならではの緊張感が希薄であるのがその理由。 本書は、男性が女性を書くという難しさがよく出ていると思う。 横山秀夫をもってしてもいかんともしがたかったのだろう。 女性モノは、乃南アサや桐野夏生に任せて、 男の小説を書いてもらいたい。 ヒリヒリするようなやつを。男女雇用均等法など幻想にすぎない。 今でも男社会は存在するし、女性を多く登用しているという会社の実情も、管理職の女性と事務職の女性の格差社会だ。 警察は優秀な女性を広告塔として持ち上げても重用することは殆どない、旧態依然とした男社会である。警察という危険に身をさらし、常に緊張がともなう職場では仕方ないかもしれない。この中ではヒロインのみならず、そういった社会で静かにもがく女性の群像が描かれる。 この短編集のヒロイン瑞穂は信念を曲げ、上からの命令に従った事で心に異常をきたし、閑職においやられた若き巡査である。 有能ではあるが正義感が強すぎて周りに妥協できない。しかし、誰よりも仕事に対する誇りを持っている。警察という組織社会の中では上手く立ち回っていけないタイプであろう。 この小説を見なが... | ||
女子大生会計士の事件簿〈DX.2〉騒がしい探偵や怪盗たち (角川文庫)山田真哉 ¥ 540 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
女子大生会計士の事件簿〈D... | |
| 女子大生会計士2冊目 今回は株価捜査と、萌えさんが会計士になった秘話が 語られています。 身近に接している株式投資もこういうふうに不正の温床になるのですね 興味深かったです計士の仕事、日常が良く分かります。登場人物の「萌さん」、「カッキー」の会話のテンポもよく、この本を読んで会計士を目指す人も出てくるかもしれません。現実の仕事は、この本にかかれているよりも、大変でしょうが、ともかく会計士の仕事の一端を知ことができます。世の中の仕組みもわかるので、会計士の仕事も悪くないな〜なんて思いました。 とにかく会計というと、貸方・借方、仕訳など、すぐに数字に置き換えてしまうので、無味乾燥というイメージなんだけど、粉飾や偽装といった事件を絡ませると、リアルに会計の仕組みが判ってくる。 キャラクターの好き嫌いはあるけど、面白く会計を解説するという点では、お堅い解説書を読むよりずっと勉強になるのでは。 ただ、簿記を勉強する際、一番厭だった「期末処理」などを題材にすることもできるのかな。本書は、事件簿1終了時よりも一年前の話です。萌さんがなぜ会計士を目指したかとか、インターネット事件やココ山岡事件... | ||
半落ち (講談社文庫)横山秀夫 ¥ 620 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
半落ち (講談社文庫) | |
| ミステリーとして爽快な謎解き、大どんでん返しを期待すると肩透かしを喰らいます。 ゆるやかにストーリが進展し、最後に主人公が黙秘し続けた秘密が、 解き明かされたとき、 「やっぱりこの主人公はいい人だったんだ。」とほのぼのとした 心地よい読後の感想をほとんどの人が持つのでは。 スピード感やハラハラドキドキを求める人には不向きだと思いますが、 読むほどに味がある渋い一冊だと思います。 レビューのタイトルどおりです。さんざんっぱら、オチを引っ張っておいて、最後の最後で明かしたオチが、「えー、それなの???」という感じ。詳しくはネタばれになるけど、オチを楽しみにするのではなく、途中の登場人物達の心の動きを楽しむつもりで読まないと、痛い目を見る。お涙頂戴という結末が途中で見え隠れしたところでストーリーのあざとさが見えて萎えました。中ほどで結末が薄々分かったところでアホらしくなりました。読者に善人であることを強要するような「これで泣かなければ、あなたは善人じゃない」みたいな、あざとさが萎えます。 なぜこの小説が評価が高いのか?分からない。私は横山秀夫さんの作品でこの作品が一番好きです。 他の作品... | ||
生ける屍の死 (創元推理文庫)山口雅也 ¥ 1,260 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
生ける屍の死 (創元推理文... | |
| ミステリの歴史に残る傑作ではないかと個人的に思う一冊なので、あえて本棚の奥から紹介のために出てきました。山口雅也氏、最近ではちょっと新作の刊行ペースが落ちていますが、「キッドビストルズ」シリーズのようなパンクの衣装を着込んだ名探偵が活躍する異色シリーズを出していたり、なかなか興味深いミステリ作家さんです。 さて、この「生ける屍の死」も、かなり異色のミステリです。 というのも、この作品、死体が生き返ってしまうのです。それも複数。普通、ミステリものでは誰が誰をどんな理由で殺したか、どんな方法で殺害したかを解決していくものですが、それもこれも大前提として、死体が何も語らず推理で謎をといていくしかないというところにポイントがあります。しかし、この作品では死者は甦ってしまうのです。ということは、顔を見られた状態で殺されたら、あるいはそれとわかる方法で殺されたら、犯人はわかってしまうのです。死体が生き返る。それだけで通常のミステリの法則は通りません。 もう一つ、殺してしまう理由の最大のものである、被害者の排除ということが死体が甦ってしまうとできません。殺して財産を独り占めにすることも、殺... | ||
クライマーズ・ハイ横山秀夫 ¥ 1,650 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
クライマーズ・ハイ | |
| スクープを打つ度胸が土壇場でしぼみ、見送った後に他社に抜かれて味わう内臓を握られるような焦燥感とか、販売や広告との諍いなど、記者であれば誰しも経験のある事象のリアリティはさすが。なんですが、素人が書いた投書の掲載で自分のキャリアをドブに捨て、それをヨシとする結末はやっぱりいただけません。記者であるか人間であるか、を厳しく問われる場面はもっと他にあります。もっと上に登りたいと願うものの、最近どうも仕事に身が入らない現役記者の自分の良い反面教師になりました。「山」と「地方新聞社の群像劇」だけならもっと高く評価できます。 しかし、肝心要の「日航機墜落」を期待して読んだので失望しました。 結局の所、主人公にとっては日航機墜落よりも過去に起きた後輩の死の方が重要だったのです。 それも、必然性も無く唐突に挿入された要素なので「どうして主人公は『今』拘る必要があったのか」と言う疑問は消化不良に終わります。 主題さえ違えばもっと違う評価が出来るのですが残念です。 85年、夏。 あの夏は特別熱かった気がします。 中学2年だった私は、父の実家新潟へ帰省するために、荷物をこしらえ、一息ついた頃であろうか... | ||
闇の底薬丸岳 ¥ 1,575 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
闇の底 | |
| デビュー作「天使のナイフ」もおもしろかったが、2作目もよかった。物語は、過去に妹を殺害された経験をもつ長瀬刑事、ベテランの村上刑事、そして犯人の男の3つの視点で描かれていくのだが、犯人の情報を少しずつ与えながら真実に近づけていく手法が見事ですっかり騙されてしまった。冷静に考えれば長瀬の父親が犯人とは考えにくいのだが、過去に子供を殺害された経験をもつという先入観をうまく利用していた。ミステリーとして楽しめるかと言えば否である。 重い社会問題に果敢にチャレンジする著者の姿勢は評価したいものの、 おもおもしくドロドロしすぎているために、読んでいると苦しくなってしまう。 リアルな描写なのかと言われるとそうでもなく、どこか底が浅く感じられる。 展開も、序盤で結末が想像のついてしまうものだった。 ミスリードしようとする、中盤の作者のわざとらしいフェイクもなんだかむなしい。 前作からの流れを無視するような、もう少し違う作品が見てみたい。お勧めしません。 性犯罪による幼女の殺害事件が起きるたびに、かって同種の罪を犯した者がサンソンと自ら名のる者によって惨殺される。この劇場型連続殺人事件を警察側から... | ||
女子大生会計士の事件簿 Dx.3 神様のゲームセンター (角川文庫)山田真哉 ¥ 580 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
女子大生会計士の事件簿 D... | |
| ‘さお屋’の山田さん著、女子大生会計士シリーズ。 会計用語は難しいですが、会社のお金のしくみを知りたい人にはよいと思います。 しかし!今回のエピソード‘天使のウィルス’はちょっと…。 パソコンのウィルス製作は犯罪だと思います。どんな背景があってもまずいのではないでしょうか? 他のエピソードでは自分なりの‘正義’に悩む主人公、萌っちが、あまりにも簡単に考えている様は残念です。本書は、物語性や粉飾のトリックが壮大なスケールで展開されている。 本書のタイトルにもなっている、神様のゲームセンター事件は、トリックのみならず、物語性に関しても面白いなあと感じた。結局、この話だけはシリアスな話になっている。会計というものは、いいところも悪いところも映し出す鏡のようなものだ。でも、絶対にうそをつかないから、会計士や会計(財務諸表)を信用してくれている。鏡(会計)を変えると、社外に対しては、詐欺罪、社内に対しては、背任罪になる。つまり、鏡(会計)を変えると、何もかも真実を映し出せなくなる。また、ウソでウソを重ねる結果になる。裏を返すと、会計(財務諸表)を信用あるものにするために、会計士は、ウ... | ||
神狩り (ハヤカワ文庫 JA (88))山田正紀 ¥ 588 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
神狩り (ハヤカワ文庫 J... | |
| ハードというわけでもなく、普通に読める。神という存在に対し、言語学という立場からアプローチしていく、という方法論がまず素晴らしい。 だが、後半の展開は少しあっさり。言語学をつきつめていく、もうちょっと高尚というか、学問的な戦いでせまっていってほしかった。神という存在を認めるのに、13の関係代名詞と2つの論理記号しか持た ない言語の存在を前提としていますが、それだけで神を認めてしまうの は強引な気がします。 特に、その言語の解読は不完全なものでしかなく、推測に過ぎないため 論拠としては弱いと感じました。登場人物が死んでいく理由も「神」の 一言で片付けられるのは、ちょっと勿体無い。 神が見えるという霊能者の存在を付加しても、その存在を認めてしまう のはやや無理があると思いました。 主人公が科学者であるなら、安易に神を信じるのではなく、もう少し理 論の通った存在証明が欲しかったです。 また「高次元の存在である神に人間のロジックが当てはまるとは限らな い」とあるのに、作中の登場人物は神を人間と同等に扱っている点も気 になりました。 作品のテンポは非常に良い。しかし、逆に言えば描写不足... | ||
獄門島 (角川文庫―金田一耕助ファイル)横溝正史 ¥ 580 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
獄門島 (角川文庫―金田一... | |
| 『獄門島』がいまもなお、傑作であり続けるのには2つの理由がある。 ひとつは、終戦直後の日本でしか描きえなかった時代背景。 戦争のため供出され、獄門島という瀬戸内海の島に戻てくる寺の鐘は その象徴といえるし、そこには個人の思惑を超えた「運命」がある。 ふたつめは、青年の初々しさを残す金田一耕助をはじめとする人物造形。 のちの作品に登場する金田一は洒脱さも兼ね備えており、それはそれで 味があるのだけれど、本書の金田一からは青年ならではのまっすぐな視 線とやさしさを感じる。 事件は陰惨だが、読後は薄闇から光が射したような爽やかさがある。 過剰な感情や情報をおしつけられる(ように感じる)小説が多いなか、 この作品を何度も読み返してしまうのは、そのミニマムな魅力にあるの かもしれない。原点に帰りたいときに、読む一冊。 言わずと知れた横溝正史の傑作。 相変わらず、金田一の役立たずっぷりがすごい。殺人を防ぐためにやってきたのに、誰一人として助けられないとは。 トリックというかプロットとしては確かに傑作だ。すっかりだまされてしまう。 とはいえ、色々と納得できない点も残るので、星は4つ。時... | ||
本陣殺人事件 (角川文庫―金田一耕助ファイル)横溝正史 ¥ 660 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
本陣殺人事件 (角川文庫―... | |
| 本書は、本陣殺人事件の他に二つのショートショートがついている。 『本陣殺人事件』は密室ものである。途中で筆者は金田一に密室の探偵小説について語らせている。曰く、犯人がある方法で−針金だの紐だのを使ってですね−あとから錠だの閂だのをおろしておいた、などというのは感心しない・・・ であるならば、本件はこういうトリックではないということが分かる。 ではあくまで密室なのであろう。しかし、犯行に使われたと見られる凶器は部屋の外にあるのである。となると・・・ 『車井戸はなぜ軋る』は、酷似している異母兄弟が戦争から帰って来る、が、一人は戦死し一人だけで。さあ、その本人はどちらか、というのが話しの中心である。何か犬神家の一族にこんなのがあったような・・・ 『黒猫亭事件』は「顔のない屍体」ものである。筆者曰く、探偵小説には「一人二役」型だの、「密室の殺人」型だの、「顔のない屍体」型だのがある。後の二つは途中でそれと気付くが、「一人二役」型は読者に感付かれたが最後、その勝負は作者の負けであると。また、「顔のない屍体」は、十中八九被害者と加害者がいれかわっていると考えて間違いはないと。 さあ、本件の... | ||
夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)米澤穂信 ¥ 600 通常24時間以内に発送 ★★★★★ |
夏期限定トロピカルパフェ事... | |
| 小市民シリーズミステリー待望の二作目。これはもちろん夏に読むべきでしょう☆依然奇妙な人間関係の高校生男女ふたり。出だしはいつもの展開を踏襲し、日常に生まれるナゾを自ら作り出したり解き明かされたり。しかし、全体を通してどことなく主人公の語りに不穏な色があり、前作を読んでる身としては当然、おや?とひっかかります。でもまさかナゾがすべて解けたあとにこんな展開が用意されているとは…。恋愛関係でなくてもせつないストーリーは描けるのだなあという一例が、ラストに読者を待ち受けております。だけど、あー、この小説、続きはどうなってしまうの〜!? この本は、前に紹介した「春季限定いちごタルト事件」の続編になります。 小鳩くんと小佐内さんのコンビも、前回は高校一年生でしたが、今回は一年とちょっと過ぎて高校二年生になっています。見かけは普通ながら、それぞれ常人より推理力と復讐心が圧倒的に強い二人はその自分たちの性を押さえて隠すため、「小市民」を目指していますが、今回もまたそうはいかない展開になります。一夏の事件は二人の関係をそうした穏やかな状態で終わらせてはくれませんでした。 幕開けはそんな劇的なことを... | ||
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)米澤穂信 ¥ 609 通常24時間以内に発送 ★★★★ |
春期限定いちごタルト事件 ... | |
| 気軽に読めるミステリ。まずなによりいいのは、人が殺されない。同級生のポシェットが盗まれた理由は?シンクを濡らさず(洗いものをせず)ホットココアを3杯作る方法は?テスト中にロッカーから栄養ドリンクのビンが落ちて割れたのはなぜか?などなど、「事件」とはいえないようなちょっとした謎、でも少し頭をひねらないと簡単には答えが出ないようなできごとを小鳩くんと小山内さんが解いていきます。とはいっても、二人は積極的に事件にかかわりたいのではなく、むしろ目立つようなことは避け、徹底的に「小市民」をめざそうと心にに強く誓っているのです。二人の過去は、ここではあまり語られてはいませんが、過去を忘れ、自分を変えたいという思いからあえて目立たないようにしているようです。 中学生から高校生にかけてというのは、非常にビミョーな時期ですね。”ほんとの自分”なんてものを見つけようとしてみたり。人間関係をどうやって作っていくか、クラスの中でどういったポジションを取ったらいいか。大人になってから考えるとたいしたことでもないことで悩んでいたりするものです。そういった青春小説の一面もあり、それが全体的にさわやかで軽い、... | ||